ネフローゼ症候群(ねふろーぜしょうこうぐん)
ネフローゼ症候群(ねふろーぜしょうこうぐん)
ネフローゼ症候群とは、血液をろ過して尿をつくる腎臓の働きが損なわれて、大量のたんぱくが尿中に排泄されるため、血液中のたんぱくが著しく不足し、高コレステロール血症を生じた病的状態をいいます。
ネフローゼ症候群の症状
ネフローゼ症候群の症状は、一般にむくみがみられます。これは、まず糸球体のたんぱく透過性が高まることによって、尿中に多量のたんぱくが排泄され、血液中の血清たんぱく濃度が低下します。すると、血漿の浸透圧低下によって体液が組織内液に移行し、同時に腎臓からのナトリウムと水の排泄が低下して、それらが体内に貯留するために起こるものです。
消化管の浮腫によって、腹痛、嘔吐、下痢が起こります。
また、低アルブミン血症やコレステロールがつくられすぎることによって高脂血症を招くこともあります。とくに低アルブミン血症の場合には、抵抗力の低下による感染症や、フィブリノーゲン合成が進むことによって血液凝固因子や血小板の機能が高まり、血栓症を生じる危険性があります。
ネフローゼ症候群の原因
ネフローゼ症候群は、その原因となる病的状態によって大きく2つに分けられます。ひとつは、腎臓の糸球体自体が病変を起こした原発性糸球体腎炎を原因とする一次性ネフローゼ症候群で、もう一方はそれ以外の原因疾患が糸球体に障害を及ぼすために起こる二次性ネフローゼ症候群です。
どちらの場合も腎臓の糸球体がおかされるために、血液中のたんぱくが多量にろ過されて尿中にもれ出してしまうのです。そのメカニズムはまだ解明されていませんが、多くは免疫の異常が関係していると考えられています。
症例のほとんどは一次性のもので、その割合は成人で70~80%、小児では90%以上となっています。腎臓の組織を顕微鏡で調べた病変の特徴による原因疾患としては、微小変化群、膜性糸球体腎炎(膜性腎症)、巣状糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎などがあげられ、成人では膜性糸球体腎炎、小児期では微小変化群のケースが多くなっています。
また二次性ネフローゼ症候群の原因疾患には、糖尿病、全身性エリテマトーデス、アミロイドーシス、マラリア、梅毒などのほか、金や水銀、あるいはペニシラミンによる中毒、悪性腫瘍などがあります。そのほか成人では糖尿病性腎症やループス腎炎、小児では紫斑病性腎炎などの病変が原因疾患になっていることもあります。
ネフローゼ症候群の検査
ネフローゼ症候群の検査は、尿検査や血液検査などを行なって、次のような結果が出たときにネフローゼ症候群と診断されます。
(1)高度のたんぱく尿:尿たんぱく3.5g/日以上
(2)低たんぱく(アルブミン)血症:血清総たんぱく6.0g/dl以下、血清アルブミン3.0g/dl以下
(3)高脂血症:血清総コレステロール250mg/dl以上
(4)浮腫
このほか、どのような原因疾患によるものか調べるために腎生検が行なわれることもあります。
なお、浮腫は心臓病や肝臓病、内分泌系の病気など腎臓以外の病気でもみられます。それらと区別するために、疑われる病気それぞれの検査が必要になる場合もあります。
ネフローゼ症候群の治療
ネフローゼ症候群の治療は、急性腎炎と同様に、安静、食事、薬物療法が治療の基本です。
発病時や再発時にはとくに安静が必要で、入院してベッド上で厳しく安静を守ります。病状が改善されるにしたがって、徐々に運動も許されますが、その内容や程度は医師の指示に従うことが大切です。
食事療法では、不足した血液中のたんぱくを補うために、食事で十分なたんぱく質をとる必要があります。年齢や体重、尿中たんぱくの量によって異なりますが、成人の場合で1日90g以上を摂取します。ただし最近では、高たんぱく食はかえって腎臓機能を悪化させる心配があるとの考えから、低たんぱく血症や浮腫の程度が軽い場合には、高たんぱく食を避ける方針で治療するようになってきています。また、浮腫がある場合は、その程度に応じて塩分制限が行なわれます。
薬物療法は、病態や原因疾患によって異なります。一次性ネフローゼ症候群の場合には、まず抗炎症作用をもつ副腎皮質ホルモン剤が使用されます。通常、2~4週間でたんぱく尿や浮腫が消えていきます。難治性が予想されるときには、使用量をふやします。4~8週間の使用で効果があらわれた場合には、副腎皮質ホルモン剤の量を減らしていき、その後は維持療法として1日の服用量がきめられて退院となります。あとは1週間に1回または2週間に1回の検査通院をしながら、6か月~1年かけて服用中止にもっていくのが一般的です。
また、重症の場合や治療効果があらわれない場合には、大量の副腎皮質ホルモン剤を短期間だけ用いるステロイド大量静注衝撃療法(パルス療法)が行なわれ、あわせて免疫抑制剤や抗凝固剤、抗血小板剤などが使用されることもあります。浮腫に対しては、利尿剤やアルブミン製剤が使用されますが、高脂血症の場合には動脈硬化を招く可能性もあるため、高脂血症治療剤が用いられます。
二次性ネフローゼ症候群では、原因疾患の治療が優先されます。全身性エリテマトーデスなどの膠原病が原因の場合は、副腎皮質ホルモン剤がよく使われますが、効果にばらつきがあります。糖尿病やアミロイドーシスには、副腎皮質ホルモン剤は効果がなく、逆に悪化させる恐れがあるので用いられません。
食事や生活について医師の指示を守ることが大切です。とくに副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤を服用しているときは、感染症にかかりやすく、かかると重症になることがあるので、かぜをひいたり、けがをしないように十分注意しましょう。
女性で妊娠を希望する場合は、通常、完治後1年以上経過していなければなりません。妊娠を希望する時期を医師に相談し、妊娠中や出産後も、内科・産婦人科との連絡を保つ必要があります。
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